リン酸処理とは一体何か?
リン酸処理とは、「リン酸塩皮膜処理」と言い、簡単に言うとリン酸鉄、リン酸亜鉛、リン酸マンガンなどのリン酸塩の溶液を用いて金属の表面に施す化成処理のことを表します。これは主に塗装前の鉄を素材とした製品や鋼の表面に施す処理で、主に金属表面の腐食を抑える表面保護の目的で行われます。詳しい仕組みとしては、素材の表面に化学反応で皮膜を作ることで元々の素材とは異なる性質を持たせるというものです。他にも油の吸着性が優秀で、表面の潤滑性を向上させる働きもあるので、塑性加工時の下地処理としても使用されます。余談ではありますが、1915年にアメリカの「パーカー」と言う兄弟が発明した技術とされています。そのため「パーカー処理」などと呼ばれることもあります。
どの溶液を使ったリン酸処理が良いのか?
一口にリン酸処理と言っても、使用するリン酸の種類によってそれぞれ利点が異なるため、用途に合わせて使い分けるのが効果的です。高級感や、周囲との自然な調和を目的とした質感を目指す場合は「リン酸亜鉛処理」が適しています。最も多く使用されている処理方法で、使いやすさもピカイチです。耐熱性を重視したいのであれば、「リン酸カルシウム処理」がお勧めです。高温で焼きつけるような塗装に向いています。塗装の密着性を求めるならば、「リン酸鉄処理」を使うと良いでしょう。非常に皮膜が薄く、非晶質なのが特徴です。腐食に対する耐性を付与することがリン酸処理の主な目的ですが、摩擦に対する耐性を付けたいのであれば、「リン酸マンガン処理」が最も効果的です。潤滑性が高いので、耐摩耗皮膜や潤滑用皮膜として活用することが出来ます。
リン酸処理は表面をきれいにするための金属加工です。後工程のメッキ処理の品質をよくしたり、防錆効果があります。